2026年から強制適用される新リース会計基準について、「何から手をつければいいかわからない」と悩む中小企業の経理担当者様も多いのではないでしょうか。新基準では原則すべてのリース契約が資産・負債として計上(オンバランス化)されるため、早期の準備が不可欠です。しかし、中小企業には実務負担を大幅に軽減できる「簡便な取扱い」が認められています。本記事では、その簡便な取扱いの具体的な内容、使用権資産とリース負債の簡単な計算方法や仕訳例を交え、今からやるべき対応を3つのステップで分かりやすく解説します。この記事を読めば、複雑に思える新基準対応のポイントが5分でつかめます。
そもそも新リース会計基準とは何か
「新リース会計基準」とは、企業のリース契約に関する会計処理のルールを定めた新しい基準のことです。正式には、企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した改正「リースに関する会計基準」を指します。この変更は、国際的な会計基準(IFRS第16号など)との整合性を図ることを目的としており、企業の財務状況をより正確に、そして透明性高く報告するための重要なルール変更となります。
これまで多くの企業で費用として処理されてきたリース契約が、今後は資産と負債として貸借対照表(B/S)に計上されることになります。これは、特にリース契約を多用している中小企業にとって、財務諸表に大きな影響を与える可能性があるため、早期の理解と準備が不可欠です。
2026年から強制適用される会計ルール変更
新しいリース会計基準は、2026年4月1日以後開始する事業年度から強制適用されます。例えば、3月決算の企業であれば、2027年3月期の決算からこの新ルールに則って会計処理を行う必要があります。もちろん、準備が整った企業は、強制適用を待たずに早期適用することも可能です。
この会計基準の変更は、海外の投資家や取引先が日本の企業の財務諸表を見た際に、他国の企業と比較しやすくすることが大きな目的の一つです。これまで日本の会計基準では、多くのリース契約が貸借対照表に載らない「オフバランス」取引として扱われてきました。しかし、国際的にはこれらのリースも実質的な資産・負債とみなす考え方が主流です。新リース会計基準は、この国際的な流れに合わせ、企業の財政状態をより実態に即して開示することを求めるものです。
従来の会計基準との違いを1分で理解
新リース会計基準の最大のポイントは、これまで「オペレーティング・リース」として費用処理していた契約も、原則として資産・負債として計上(オンバランス化)する点にあります。従来の会計基準との違いを、以下の表で簡単に確認してみましょう。
| 項目 | 従来の会計基準 | 新リース会計基準 |
|---|---|---|
| リースの分類 | ファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類。 | 原則としてすべてのリースを単一のモデルで会計処理。(分類が不要に) |
| 会計処理(借手側) |
|
|
| 損益計算書(P/L)への影響 | オペレーティング・リースは、支払リース料を一定額で費用計上。 | 使用権資産の減価償却費とリース負債に係る支払利息を費用計上。(費用が初期に厚くなる傾向) |
つまり、これまでは賃貸借契約として扱われ、貸借対照表には載ってこなかったコピー機や複合機、社用車、PC、オフィスなどの不動産賃貸借契約の多くが、今後は自社の資産・負債として計上されることになるのです。
なぜ今から新リース会計基準の準備が必要なのか
「適用は2026年からなら、まだ先の話」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。今から準備を始めるべき理由は、大きく3つあります。
- 影響範囲の把握に時間がかかるから
社内で利用しているリース契約をすべて洗い出し、新基準の対象となるか否かを判断するには相当な時間と手間がかかります。本社だけでなく、各支店や営業所が個別に契約しているケースも多く、全社的な調査が必要不可欠です。 - 財務指標へのインパクトが大きいから
リース契約がオンバランス化されると、総資産と総負債が同時に増加します。これにより、自己資本比率や負債比率、総資産利益率(ROA)といった経営指標が悪化する可能性があります。金融機関からの融資審査や、取引先からの信用調査に影響を及ぼすことも考えられるため、事前に影響額をシミュレーションし、ステークホルダーへの説明準備を整えておく必要があります。 - 業務フローやシステムの変更が必要だから
新しい会計処理に対応するためには、経理部門の業務フローを見直さなければなりません。また、リース契約をExcelなどで管理している場合、契約情報の集約、資産・負債額の計算、減価償却や利息の計算など、手作業での管理には限界があります。会計システムやリース管理システムの導入・改修も視野に入れた検討が必要となり、これには時間とコストがかかります。
これらの理由から、適用開始が間近に迫ってから慌てることのないよう、計画的に準備を進めていくことが極めて重要です。
中小企業への影響は?対象となるリース契約の範囲
2026年から強制適用が予定されている新リース会計基準は、特に中小企業の財務に大きな影響を与える可能性があります。これまで費用として処理できていたリース契約が、会計上は資産と負債として扱われることになるためです。ここでは、新基準が中小企業にどのような影響を及ぼすのか、そして対象となるリース契約の具体的な範囲について詳しく解説します。
原則すべてのリースがオンバランス化
新リース会計基準の最大の特徴は、これまで費用処理していたオペレーティング・リースも含め、原則としてすべてのリース契約が資産・負債として貸借対照表(B/S)に計上される「オンバランス化」です。
従来の会計基準では、リース契約は「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分類されていました。このうち、実質的に資産を購入したのと変わらないファイナンス・リースは資産計上されていましたが、短期的な賃貸借とみなされるオペレーティング・リース(例:コピー機のレンタルなど)は、支払ったリース料を費用として処理するだけで済みました(オフバランス処理)。
しかし、新基準ではこの区別が原則としてなくなり、ほとんどのリース契約が「使用権資産」という資産と、「リース負債」という負債の両方を貸借対照表に計上する必要があります。これにより、これまでB/Sに現れていなかったリース契約の実態が財務諸表に反映されることになります。
財務諸表に与える具体的なインパクト
リース契約のオンバランス化は、貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)だけでなく、企業の経営指標にも直接的なインパクトを与えます。具体的にどのような変化が起こるのか、下の表で確認しましょう。
| 財務諸表・指標 | 具体的な影響内容 |
|---|---|
| 貸借対照表(B/S) |
|
| 損益計算書(P/L) |
|
| 経営指標 |
|
これらの経営指標の悪化は、金融機関からの融資審査や取引先との与信管理において、不利に働く可能性も考えられます。そのため、自社がどれだけの影響を受けるのかを事前に把握しておくことが極めて重要です。
対象外となる短期リースと少額リースの条件
原則すべてのリースがオンバランス化の対象となりますが、実務上の負担を軽減するため、例外的にオンバランス化が免除されるケースも設けられています。それが「短期リース」と「少額リース」です。
これらの条件に該当するリース契約は、従来通り、支払ったリース料を費用として処理することが認められます。自社のリース契約が該当するかどうか、以下の条件を確認してください。
| 種類 | 条件 | 注意点 |
|---|---|---|
| 短期リース | リース開始日時点で、リース期間が12ヶ月以内であるリース契約。 | 契約上は12ヶ月以内でも、更新によって実質的に12ヶ月を超えて利用することが明らかな場合や、借手に重要な経済的インセンティブのある購入オプションが付いている場合は対象外となる可能性があります。 |
| 少額リース | 個々のリース資産の価額が少額であるリース契約。(例:PC、タブレット、事務用デスク、電話機など) | 「リース料総額」ではなく、リース資産そのものの新品購入時の価額で判断します。具体的な金額基準は今後の会計基準の確定を待つ必要がありますが、国際的な基準(IFRS第16号)では5,000米ドル以下が目安とされています。 |
中小企業においては、PCや什器備品など少額リースに該当する契約も多いと考えられます。まずは自社が結んでいるリース契約をすべて洗い出し、これらの例外規定を適用できるかどうかを一つひとつ確認する作業が必要になります。
【本題】新リース会計基準における中小企業の簡便な取扱い
新リース会計基準は原則としてすべての上場企業や大企業に適用されますが、中小企業の実務負担を考慮した「簡便な取扱い」が認められています。この章では、中小企業が新基準へスムーズに対応するための具体的な簡便法について、計算例や仕訳を交えながら分かりやすく解説します。
簡便な取扱いが認められる3つのポイント
中小企業が新リース会計基準に対応する際、実務上の負担を軽減するために、主に以下の3つの簡便な取扱いが認められています。これらを活用することで、複雑な計算を避け、効率的に会計処理を進めることが可能です。
- 重要性が乏しいリース契約への適用省略: 新基準では、短期リース(12ヶ月以内)や少額リース(明確な金額基準は今後示される見込みですが、例えば1契約あたり300万円未満などが想定されます)は資産計上の対象外となります。これらに加え、会計監査を受けていない中小企業においては、個々のリース契約の金額や性質を考慮し、財務諸表全体への影響が小さいと判断できるリース契約について、新基準の適用を省略し、従来通りの賃貸借処理を継続することが容認されると考えられています。
- 使用権資産・リース負債の算定の簡略化: 原則的な方法では、将来のリース料総額を「現在価値」に割り引いて資産・負債額を計算する必要があり、非常に複雑です。しかし簡便法では、このような割引計算を行わず、支払リース料の総額をそのまま使用権資産およびリース負債の計上額とすることができます。これにより、計算の手間が大幅に削減されます。
- 利息計算の簡略化: 原則である「利息法」では、期首のリース負債残高に利率を乗じて支払利息を計算するため、毎期の利息額が変動します。簡便法では、利息相当額の総額をリース期間で均等に配分する「定額法」の採用や、そもそも利息相当額を区分せず、リース料総額を使用権資産として計上し、減価償却費として費用処理する方法が認められます。
使用権資産とリース負債の簡単な計算方法
中小企業向けの簡便な取扱いの中で、最も実務的なインパクトが大きいのが、使用権資産とリース負債の計算方法です。複雑な割引計算は不要で、非常にシンプルな計算で計上額を算出できます。
具体的には、以下の計算式で求めます。
使用権資産・リース負債の計上額 = 毎月のリース料 × 支払回数(リース期間の月数)
この方法では、将来支払うリース料の合計額をそのまま資産と負債の金額として計上します。支払利息に相当する部分を分離しないため、経理担当者の計算負担を大幅に軽減できるのが最大のメリットです。
設例でわかる簡便法での仕訳イメージ
それでは、具体的な設例を使って、簡便法を用いた場合の仕訳の流れを見ていきましょう。ここでは、利息を区分しない最もシンプルな方法で解説します。
【設例】
- リース対象:業務用コピー機
- リース期間:5年(60ヶ月)
- 月額リース料:50,000円
- 会計処理:簡便法(利息を区分しない方法)を採用
1. リース料総額の計算
50,000円 × 60ヶ月 = 3,000,000円
2. 仕訳例
このリース料総額3,000,000円を基に、以下のように仕訳を行います。
| タイミング | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| リース開始時 | 使用権資産 | 3,000,000円 | リース負債 | 3,000,000円 |
| リース料支払時(毎月) | リース負債 | 50,000円 | 現金預金 | 50,000円 |
| 決算時(年1回) | 減価償却費 | 600,000円 | 使用権資産 | 600,000円 |
※決算時の減価償却費は、リース料総額(3,000,000円)をリース期間(5年)で除して計算します。(3,000,000円 ÷ 5年 = 600,000円/年)
このように、最初にリース料総額で資産・負債を計上し、あとは毎月負債を減らし、決算で資産を償却するだけなので、非常にシンプルに管理できることがわかります。
利息の取り扱いに関する簡便な処理
前述の設例では利息を区分しない最も簡単な方法を紹介しましたが、中小企業会計指針などでは、利息相当額をリース期間にわたって定額で費用計上する方法も認められています。
原則的な「利息法」は、期首の負債残高に応じて利息額が変動するため管理が煩雑です。一方、簡便法では、支払利息の総額をリース期間で均等に配分するため、毎期計上する支払利息の金額が一定となり、予算管理や会計処理が容易になります。
ただし、実務上は、利息を計算する手間そのものを省ける「利息を区分せず、リース料総額を資産計上する方法」が最も負担が少ないため、多くの中小企業で採用されることが予想されます。自社の管理体制や顧問税理士・会計士の方針を踏まえ、どの方法を選択するかを事前に決定しておくことが重要です。
新リース会計基準への対応 3つのステップ
新リース会計基準への対応は、付け焼き刃の知識では乗り切れません。適用開始が2026年と聞くとまだ先のように感じられますが、対象となる契約の洗い出しや会計方針の決定には相応の時間がかかります。ここでは、中小企業が計画的に準備を進めるための具体的な3つのステップを解説します。
ステップ1 対象となるリース契約の洗い出しと管理
最初に着手すべきは、社内に存在するすべてのリース契約を正確に把握することです。新基準では、これまで費用処理(オフバランス)していたオペレーティング・リースも原則として資産計上の対象となるため、管理対象外だった契約もすべて洗い出す必要があります。
コピー機やPC、社用車、オフィス機器、不動産(店舗や事務所の賃貸借契約)など、リースや賃貸借という名称の契約を全社的にリストアップしましょう。契約書が各部署でバラバラに保管されているケースも多いため、経理部門が主導して全部門に協力を依頼し、網羅的に収集することが重要です。収集した契約については、以下の情報を一覧化して管理台帳を作成します。
| 管理項目 | 内容 |
|---|---|
| 契約情報 | 契約部署、リース会社、契約番号、契約日、リース物件名・型番 |
| リース期間 | リース開始日、リース終了日、リース期間(月数)、解約不能期間 |
| リース料 | 月額リース料、リース料総額、支払スケジュール |
| 契約オプション | 契約更新オプションの有無と条件、割安購入オプションの有無と条件 |
| その他 | 維持管理費用などリース料以外の支払額、金利に関する情報 |
この洗い出しと台帳作成が、後続のステップすべての土台となります。Excelなどでの管理も可能ですが、契約件数が多い場合は、後の会計処理や管理の煩雑さを考慮し、早い段階でシステム化を検討することも有効です。
ステップ2 会計方針の決定とシミュレーション
次に、洗い出したリース契約情報をもとに、自社の会計方針を決定します。特に中小企業にとっては、実務負担を軽減する「簡便な取扱い」を適用するかどうかが大きな判断ポイントになります。
具体的には、以下の項目についての方針決定が必要です。
- 短期リース(リース期間12か月以内)や少額リースを適用する範囲の決定
- 簡便法を適用する契約の範囲の決定
- 利息の計算方法(原則法か簡便法か)の選択
- 使用権資産の減価償却方法の選択
会計方針を決定したら、必ず財務諸表に与える影響額のシミュレーションを行いましょう。リース資産とリース負債が貸借対照表(B/S)に計上されることで、自己資本比率や負債比率といった財務指標が悪化する可能性があります。これにより、金融機関からの融資審査や取引先からの信用格付けに影響が及ぶことも考えられます。事前に影響額を把握し、必要に応じて金融機関へ説明できる準備を整えておくことが極めて重要です。シミュレーションを通じて複数の会計処理パターンを比較検討し、自社にとって最も適切な会計方針を選択しましょう。
ステップ3 業務フローとシステムの整備
最後のステップは、決定した会計方針を実務に落とし込むための体制構築です。具体的には、業務フローの見直しと、必要に応じたシステムの整備を行います。
まず、新しい会計処理に対応した業務フローを整備します。これには、リース契約を新たに締結・更新する際のルール作りも含まれます。例えば、契約を管轄する事業部門が、契約締結時に必要な情報(リース期間やリース料総額など)を経理部門へ速やかに連携する仕組みを構築しなければ、正確な会計処理は行えません。誰が、いつ、どの情報をもとに仕訳起票や資産管理を行うのかを明確に文書化し、社内研修などを通じて関係者全員に周知徹底することが不可欠です。
並行して、現在利用している会計システムが新リース会計基準に対応可能かを確認します。対応していない場合は、システムの改修やバージョンアップ、アドオンの追加、あるいは新基準に対応したリース管理システムの導入などを検討する必要があります。特にリース契約件数が多い企業では、Excelでの管理はミスが発生しやすく、属人化を招くリスクがあります。契約情報の一元管理から仕訳の自動生成、減価償却計算までを効率化できる専門システムの活用は、経理部門の負担を大幅に軽減する有効な手段となるでしょう。
よくある質問と実務上の注意点
新リース会計基準への対応を進めるにあたり、多くの実務担当者が疑問に思う点や、見落としがちな注意点が存在します。ここでは、特によく寄せられる質問とその回答をまとめ、スムーズな移行をサポートします。
契約変更があった場合はどうする?
リース契約は、期間の延長や短縮、リース料の改定など、契約内容が変更されることがあります。新リース会計基準では、このような契約変更があった場合、原則として変更の効力発生日時点で使用権資産とリース負債を再測定する必要があります。
例えば、リース期間が2年延長された場合、その延長期間にかかるリース料総額を、変更時点の割引率を用いて現在価値に割り引き、その金額をリース負債と使用権資産にそれぞれ追加計上します。これは、簡便的な取扱いを採用している中小企業においても同様に求められる処理です。
契約変更は実務上、頻繁に発生する可能性があるため、変更があった際に速やかに再計算を行える体制を整えておくことが重要です。変更内容を正確に把握し、会計処理に反映させるための業務フローをあらかじめ確立しておきましょう。
税務上の取扱いとの違いは?
新リース会計基準を適用する上で、最も注意すべき点の一つが会計上のルールと税務上のルールの違いです。この違いを理解していないと、決算や税務申告の際に混乱を招く可能性があります。
会計上は、新基準の適用により原則すべてのリースが資産・負債として計上(オンバランス化)されます。一方で、法人税法におけるリース取引の取扱いは、基本的に従来通りです。つまり、税務上は引き続き「所有権移転ファイナンス・リース」「所有権移転外ファイナンス・リース」「オペレーティング・リース」の区分に応じて処理され、オペレーティング・リースは費用処理が認められます。
この結果、会計上の費用(減価償却費+支払利息)と、税務上の損金(支払リース料)に差異が生じるため、法人税の申告時に「申告調整」という作業が必要になります。以下の表で違いを整理してみましょう。
| 項目 | 会計(新リース会計基準) | 税務(法人税法) |
|---|---|---|
| 対象リース | 原則すべてのリース契約 | ファイナンス・リースとオペレーティング・リースを区分 |
| 資産計上 | 使用権資産としてオンバランス化 | 所有権移転外ファイナンス・リースは一定の条件で賃貸借処理(オフバランス)が可能 |
| 費用計上 | 減価償却費と支払利息 | 支払リース料(賃貸借処理の場合) |
| 申告調整 | 税務との差異について必要 | 会計処理に合わせた調整が必要になる |
このように、会計と税務で別々の処理と管理が求められるため、経理担当者の負担が増加する可能性があります。自社の顧問税理士など専門家と連携し、申告調整の具体的な方法について確認しておくことが不可欠です。
Excel管理の限界とリース管理システム活用のすすめ
現在、多くの企業でリース契約の管理にExcelが利用されていますが、新リース会計基準への対応においては、その限界が顕在化します。手作業によるExcel管理には、主に3つのリスクが伴います。
- 複雑な計算によるヒューマンエラー
現在価値の割引計算や利息の算定、契約変更時の再測定など、計算プロセスが非常に複雑になります。手作業や複雑な関数を組んだExcelでは、入力ミスや計算式の誤りといったヒューマンエラーが発生するリスクが高まります。 - 業務の属人化
特定の担当者が作成した複雑なExcelファイルは、他の人が内容を理解したり修正したりすることが困難になりがちです。その結果、業務が属人化し、担当者の異動や退職時に業務が停滞するリスクを抱えることになります。 - 情報管理の非効率性
契約書は紙で保管し、管理台帳はExcel、というように情報が分散していると、全社的なリース契約の状況を即座に把握することが困難です。監査対応や経営判断に必要な情報を迅速に提出できない可能性があります。
これらの課題を解決し、新リース会計基準へ効率的かつ正確に対応するためには、リース管理システムの活用が極めて有効な選択肢となります。
プロシップなど専門システムのメリット
リース管理に特化した専門システムを導入することで、Excel管理の課題を解消し、多くのメリットを享受できます。例えば、業界で広く導入されている株式会社プロシップのシステムなどには、以下のようなメリットがあります。
- 計算の自動化と正確性の担保
新リース会計基準に準拠した使用権資産やリース負債の計算、減価償却費、支払利息の算定などを自動で行います。複雑な計算から解放され、正確性が飛躍的に向上します。 - 仕訳データの自動生成と会計システム連携
計算結果に基づき、必要な会計仕訳データを自動で作成します。多くの会計システムと連携可能であり、手入力による二重作業やミスを防ぎ、経理業務を大幅に効率化します。 - 契約情報の一元管理と内部統制の強化
すべてのリース契約情報をシステム上で一元管理できます。契約満了前の自動アラート機能などにより、契約更新漏れや解約忘れといったリスクを低減し、内部統制の強化にも繋がります。 - 法改正への迅速な対応
将来的な会計基準や税制の変更にも、システムのアップデートによって迅速に対応が可能です。自社でExcelの計算式を修正し続ける手間やリスクから解放されます。
Excelでの管理に限界を感じている場合、システム導入は単なる業務効率化に留まらず、正確な財務報告体制の構築とガバナンス強化を実現するための戦略的投資と捉えることができるでしょう。
まとめ
本記事では、2026年から強制適用される新リース会計基準について、特に中小企業向けの簡便な取扱いに焦点を当てて解説しました。新基準の適用により、原則すべてのリース契約が資産・負債として計上(オンバランス化)され、財務諸表に大きな影響を与える可能性があります。
しかし、中小企業には使用権資産やリース負債の計算、利息の処理において簡便な取扱いが認められています。この特例を正しく理解し活用することが、対応負荷を軽減する上で極めて重要です。まずは自社が対象となるリース契約を正確に洗い出し、会計方針を決定することから始めましょう。
適用開始まで時間はありますが、契約内容の把握や業務フローの整備には相応の期間を要します。本記事で解説した3つのステップを参考に、計画的に準備を進め、スムーズな会計基準の移行を実現してください。
※記事内容は実際の内容と異なる場合があります。必ず事前にご確認をお願いします